卵巣は子宮の左右に一つずつあり、通常では2~3cmぐらいの大きさです。ここに発生した腫瘍が卵巣腫瘍であり、大きいものでは30cmを超えることもあります。卵巣腫瘍には様々な種類がありますが、その発生起源から表層上皮性・間質性腫瘍、性索間質性腫瘍、胚細胞腫瘍などに大別され、それぞれに、良性腫瘍、境界悪性腫瘍、悪性腫瘍があります。
卵巣腫瘍の症状には腹部膨満感(お腹が張って苦しい)、下腹部痛、頻尿などがありますが、小さいうちは無症状で経過することが多く、大きくなったり腹水がたまったりしてから症状が出現することが多いのです。時に腫瘍が破裂したり、茎捻転といって腫瘍がお腹の中でねじれてしまうと突然の強い下腹部痛が出現することもあります。
外来でよく見かける卵巣の疾患としては、卵巣内にチョコレートのような古い出血がたまる「内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)」、皮膚や脂肪・毛髪・歯などの体のほかの部位の組織が入っている「成熟嚢胞性奇形腫(皮様嚢腫)」などがあります。
卵巣がんには、進行が早く急激に悪化するものがあります。
卵巣がんの早期発見のためには、年に一度の子宮がん検診時に内診と超音波検診で卵巣の状態のチェックをおすすめします。また、検診で問題がなくても「骨盤痛、腹部膨満感、不快感、疲労感、頻尿」などが続く場合も念のため受診することをおすすめします。